最近のニュースを見ているとよく「過払い金返還」・「グレィゾーン」・「利息制限法」・「出資法」などの言葉を耳にしますが、
私個人からしたら何ともいえない複雑な心境ですね~!
過払い金やグレィゾーンというのは、いわゆる出資法と利息制限法との上限利率の違いによる『差』によって発生するものです。
金銭消費貸借契約においては、原則として貸主、借主の間で自由に利率を定めることができます。
ただし、約定利息は、強行規定である利息制限法の利率の範囲内と定められており、この上限を超える利息については
『無効』(はじめから何ら効力を有しない)とされますが、たとえ利息制限法に違反したとしても刑事罰の対象に
なっていないので、ほとんど守られることはありません。
だからといって、どんな高金利でも許されるのかというとそうでもありません。
ですから利息制限法とは異なる出資法という法律で、刑事罰の対象となる上限金利を設けているので
さすがに出資法の上限利率を超えると
「5年以下の懲役若しくは1,000万円以下※の罰金(併科あり)」
※法人については3,000万円以下
の刑罰が科せられますので、金融業者はこれを越えた利率で融資する事はありません。
まあ、中には微妙に出資法の上限利率を越えて貸付している貸金業者もいるとのことですが・・・。
ですから、闇金がパクられているのは、たいがい「出資法違反」及び「貸金業規正法違反」です。
ちなみに、
○利息制限法の上限利率は
10万円未満(99,999円まで)は 年20%
10万円以上 ~ 100万円未満(999,999円まで)は 年18%
100万円以上は 年15%
※損害金は各利率に1.46を乗じた利率
○出資法の上限利率は
個人間では 年109.5%
貸金業者は 年 29.2%
となっており、貸金業者はたいてい29.2%(日歩8銭)付近の利率で貸し付けています。
この利息制限法と出資法との差がいわゆるグレィゾーンなのです。
ですから弁護士や司法書士介入、また特定調停となった場合は当然に出資法利率は適用されず、強行規定である利息制限法の利率に
引き直しをしなければなりません。
貸金業者との取引中に弁護士や司法書士が介入した場合は、残元金が減るくらいだと思われますが、
(取引期間や返済金額、残元金の金額によって過払い金の発生あり)
これが、完済した後に弁護士や司法書士を介入すると、仮に貸金業者との契約利率が29.2%で、完済により残元金がプラスマイナス0
になっているのですから、それより低い利率の利息制限法で引き直せば当然にマイナスになり100%過払い金が発生します!
この過払いというのは、民法でいう703条以下の不当利得に該当し、返還請求に応じない金融業者は相手方(債務者及びその代理人)から
不当利得金返還請求事件を提起されます。
そして、被告となった金融業者は悪意の受益者(民法第704条)とされ、その不当利得に対して民法404条の民事法定利率の5%または
商法514条の6%を不当利得金返還まで付されて請求される事になります。
こうなった場合、ほぼ原告である債務者の勝訴となり、金融業者に勝ち目はないでしょう。
以前は、貸金業規正法第43条のみなし弁済なるものが認められたケースもあったのですが、平成18年1月13日、19日、24日の
最高裁判例で、みなし弁済が認められない旨の判決が下されたために、そこから一気に過払い請求が増えたのです。
金融業者からしたら八方塞で、残った方法としては2つ、過払い金以上の金額を利息制限法の利率の範囲内の低金利で追い貸しするが、
提訴される前に相手方と交渉し、いかに値切って過払い金を返還するかしか残された道はなく、どの形にしろ相手に対して
お金を渡さなければなりません。
別に金融業者の肩を持つ訳ではありませんが、出資法上限利率の29.2%で貸付をしても100万円融資して30日間で
利息が24,000円、そないに儲かるわけでもなく高いとは思いませんがね。
確かに、金融業者は利息制限法の定める上限利率を超えて貸付を行っているものの、債務者はその利率で納得の上、契約書に
署名押印しているわけですから、言えば
飯屋に入ってメニューを見て値段を確認してから注文して、食事をしてお会計を済ませて店を出た途端にすぐ戻ってきて、
「今俺が食べた食事高いやなか、なんぼか金返せや!」
とヤカラをふっかけているみたいなもので、結構やってることはヤクザです!
そもそもは、二重の基準(ダブルスタンダード)を作ったのが悪いかと思いますが、こうなった以上後の祭りで今更どうすることも
出来ないでしょう。
ま、これも昨年の12月13日に改正貸金業規正法が参院本会議で可決、成立したので、2009年までには出資法利率が下がって
グレィゾーンが完全撤廃されるみたいですが、だからといって過払いがすぐになくなるのではなく、借り換えをして継続的に
取引が続いているのであれば過払いは発生している状態が続くし、完済後10年経たなければ消滅時効にもかからないので、
貸金業者としてはほんと、頭の痛い話です。
何とも言えない御時勢です・・・。
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