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10.07.06:25

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04.18.00:25

仮差押

仮差押というのは、債務者が勝手に財産等を処分し、債権が回収できなくなることを防ぐために国家権力によってその処分を禁止する財産保全の方法で、債権回収を目的とした強制執行を行うためには、判決その他の「債務名義」という公的な証明が必要になりますが、債務名義を入手するまでに債務者が財産を処分してしまえば、債務名義をもらっても債権を回収することはできないので、仮差押によって債務者の財産を暫定的に確保することです。

民事保全法上、
「仮差押」とは、金銭債権の請求権で行われ
「仮処分」とは、金銭債権以外の請求権で行われる
ものの事を指します。



ですが、行政庁に対しては
「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることが出来ない」(行政事件訴訟法・第44条)
明文の規定があり、民事保全法に基づく仮処分が出来ません。
理由は、民法や民事訴訟法、民事執行法に民事保全法等は「私法」であって私経済関係にのみ適用されるのであって、公の機関である行政庁には、原則公法しか適用されないからです。(公法私法二元論などの問題はありますが・・・)

しかし、その代償措置として、「執行停止制度」が設けられています。

この執行停止制度は、行政不服審査法(以下「不服審査」という)と行政事件訴訟法(以下「事件訴訟」という)の二つに見られますが、
執行停止は原則、出来ません。
なぜなら行政不服審査法と行政事件訴訟法には、【審査請求及び処分の取り消しの訴えの提起は、「処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない」(行政不服審査法・第34条1項、行政事件訴訟法・第25条1項)】と定められているからです。

これを『執行不停止の原則』といいます。

ですが『執行不停止の原則』の例外として、
 不服審査では
  (1)審査庁が上級行政庁の場合     (本試験1998年問49、肢2)
      審査請求人の申し立てにより、又は職権
    (処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置の事)
  (2)審査庁が上級行政庁以外の場合
      審査請求人の申し立てにより処分庁の意見を聴取した上
    (処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止以外の措置をする事)
 事件訴訟では
  (1)積極要件・・・①重大な損害を避けるために緊急の必要があること
            ②原告、利害関係を有する第三者からの申立てがあること
  (2)消極要件・・・①執行停止によって公共の福祉に重大な影響を及ぼす恐れが
              ないこと
            ②本案について理由がないとみえないこと(二重否定)
  
       ※執行停止を決定するのは
           不服審査・・・審査庁
           事件訴訟・・・裁判所

の場合に、執行停止が出来ます。

そして、不服審査にだけ明文の規定があるものとして、『必要的執行停止(義務的執行停止)』があり、
審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、審査庁には原則として執行停止をする義務が生じます。
事件訴訟には上の(1)積極要件の①に似たような内容が記載されていますが、、不服審査のように義務的とする明文の規定はありません。
ただし不服審査も、
    ①公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、
    ②処分の執行もしくは手続の続行ができなくなるおそれがあるとき、
    ③本案について理由がないと見えるとき
は義務は生じませんが、これは執行停止義務が生じないだけであって、執行停止をしてはならないというわけではありません

また、処分の効力の停止は最も直接的な執行停止であるので、
    ①審査庁が上級行政庁の場合
    ②審査庁が上級行政庁以外の場合
    ③必要的執行停止(義務的執行停止)
の場合において、それ以外のより間接的な措置によって目的を達することができるときはすることが出来ません。


一方、事件訴訟にだけ明文の規定があるものもあります。
   『即時抗告』は、執行停止の申立てに対する決定に対して不服のある者が一定の抗告期間内にしなければならない抗告のことです。
   『内閣総理大臣の異議』は、執行停止の申立てがあったときに内閣総理大臣が裁判所に対して異議を述べる事ができるというもので、異議があったときは裁判所は執行停止決定であれば執行停止をすることが出来ず、執行停止の決定は取り消さなければならないとあり、
結局、内閣総理大臣から異議があった時は、決定前であろうが決定後であろうが、執行停止してもらえないというものであります。
しかし、内閣府の長である内閣総理大臣が異議を述べるには止むを得ない場合にしか出来ず、同時に理由も付さなければならず、更に次の常会国会に報告しなければならない。
   (行政権のTOPである内閣総理大臣が司法機関に口出しをするということは、
    司法権の独立を害し、三権分立違反の恐れがあるため、意見であるという
    見解が有力で法改正に際して制度自体を廃止すべきであるという提案も
    なされていたみたいだが、国民の重大な利益に影響を及ぼす緊急事態等への
    対応のあり方に関しての個別法が存在しないため、本制度の廃止に踏み切る
    ことが出来ないと判断され、平成16年の行政事件訴訟法改正の際には
    存置することとされた。)  (本試験2006年問15肢4・同年問18肢2)

尚、行政事件訴訟法上の訴訟類型で分類する、主観訴訟・抗告訴訟の一類型である義務付け訴訟と差止め訴訟は従来無名抗告訴訟の一種として位置づけられてきたが平成16年の改正で抗告訴訟とされたのに伴い、仮の義務付け及び仮の差止めの制度が設けられた(本試験2005年問16肢2)が、両者は上で取り上げた処分の執行停止制度と同様の機能を有するので、内閣総理大臣の異議の制度が準用されています。 (本試験2006年問18肢2)


両者を対比しながらの横断的理解、ここはかなり重要ポイントだと思います。

記述対策も出来ていればかなり上出来ですが、私は全くダメです・・・

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